退職金の平均はいくら?対象別の相場・控除・税金の計算例
公開: 2026/07/07 ・ 最終更新: 2026/10/07 ・ 著者: 与謝秀作
退職金の平均額を調査対象とともに紹介。退職一時金と年金の違い、退職所得控除、短期勤続・役員の例外、2026年のDC一時金との調整を解説します。

公開: 2026/07/07 ・ 最終更新: 2026/10/07 ・ 著者: 与謝秀作
退職金の平均額を調査対象とともに紹介。退職一時金と年金の違い、退職所得控除、短期勤続・役員の例外、2026年のDC一時金との調整を解説します。

退職金は、会社の退職金規程などに基づいて支払われる給付です。全ての会社に同じ制度があるわけではなく、もらえるか、いつから対象か、いくらになるかは勤務先の制度によります。平均額を自分の見込額として使う前に、就業規則・退職金規程と人事からの試算を確認しましょう。
受け取り方も重要です。退職に伴う一時金は原則として退職所得、一定の企業年金を年金として受ける場合は原則として公的年金等に係る雑所得として扱われます。この記事は2026年10月7日確認の制度に基づき、相場の読み方と一時金の税計算を中心に説明します。
厚生労働省の2023年就労条件総合調査では、退職給付制度がある企業は74.9%でした。ただし、常用労働者30人以上の対象民営企業についての調査です。従業員数の小さい会社まで含む「日本の全企業の約4社に1社に制度がない」という説明には広げられません。
2022年の定年退職者の区分 | 平均退職給付額 |
|---|---|
大学・大学院卒/管理・事務・技術職 | 1,896万円 |
高校卒/管理・事務・技術職 | 1,682万円 |
高校卒/現業職 | 1,183万円 |
出典は2023年就労条件総合調査の退職給付制度の結果です。表は勤続20年以上・45歳以上の2022年定年退職者についての平均で、退職年金は現価額に換算して含みます。入社数年での転職、自己都合退職、異なる職種や勤続年数にそのまま当てはめないでください。
平均には金額の大きいケースも影響します。また、一時金だけの制度と年金を含む制度では、比較する金額の意味が違います。自社の見込みは、退職理由、算定基礎の給与、勤続年数、会社の係数やポイントで確認する方が実用的です。
確認する項目 | 具体的な質問 |
|---|---|
制度の有無・種類 | 会社の退職一時金、企業年金、外部積立等のどれか |
支給対象 | 必要勤続年数、雇用区分、試用期間等の扱い |
計算方法 | 基本給・係数・ポイントなど何を基礎にするか |
退職理由 | 自己都合と定年等で計算が変わるか |
支給日・手続き | いつ支払い、何の申告書や口座情報が必要か |
受け取り方 | 一時金・年金・併用を選べるか、選択期限はいつか |
給与明細の総支給額が、そのまま退職金の算定基礎になるとは限りません。会社によっては基本給だけを使い、別の会社では等級や評価をポイント化します。選択できる受取方法も制度によるので、全員が自由に一時金と年金を選べる前提で資金計画を立てないようにします。
一般の退職手当等は、退職所得控除を引いた残りの2分の1が課税退職所得になります。給与とは分けて計算する分離課税ですが、短期勤続や役員等には例外があります。まず控除額を確認し、どの計算区分かを確かめましょう。
勤続年数 | 一般的な退職所得控除 |
|---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数(最低80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数−20年) |
勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げます。障害を原因として退職した場合は控除に100万円を加算する取扱いがあります。複数の退職一時金やDCの老齢一時金を受ける場合は、勤務・加入期間の重複による調整があるため、この表だけでは計算できないことがあります。
2026年に一般従業員が受け取り、他の退職一時金やDCとの重複調整がなく、「退職所得の受給に関する申告書」を提出する例です。所得税・復興特別所得税と住民税まで計算すると、次のようになります。
所得税は税率だけを掛けるのではなく、該当する速算控除を引きます。この例の住民税は区市町村民税6%・都道府県民税4%です。実際は支払内容・居住関係・過去の給付等を確認します。
区分 | 主な注意点 |
|---|---|
一般の退職手当等 | 控除後の金額を原則2分の1にする |
勤続5年以下の短期退職手当等 | 控除後300万円を超える部分には2分の1を適用しない |
勤続5年以下の特定役員退職手当等 | 対象部分に2分の1を適用しない |
例えば、役員ではない人の勤続5年、短期退職手当等800万円、重複なしなら控除は200万円です。控除後600万円のうち最初の300万円は半額の150万円、超える300万円はそのままなので、課税退職所得は450万円です。一般式で300万円とするのは誤りです。詳しい区分は国税庁の退職金の説明で確認できます。
確定拠出年金(DC・iDeCo)の老齢一時金も、他の退職一時金との勤務・加入期間の重複が関わります。2026年1月1日以後のDC老齢一時金を先に受け取り、その後に対象の退職一時金を受ける場合は、前年以前9年内のDC一時金などを確認する取扱いがあります。退職一時金を先に受け、DC老齢一時金を後に受ける場合には、前年以前19年内を確認する取扱いがあります。
いわゆる「10年ルール」という名前だけで、10年待てば必ず控除を全部使えるとは判断できません。支払年、先に受けた給付の種類、対象となる勤続・加入期間が必要です。受給歴を一覧にして、国税庁の重複調整の説明や支払機関・税務署で確認しましょう。
申告書を提出しないと、原則として支給額の20.42%が所得税・復興特別所得税として源泉徴収され、確定申告で精算することになります。提出済みなら通常は支払時に精算されますが、別の理由で確定申告する場合などは取扱いを確認してください。
退職金は、平均額より自社の見込額と支給時期が生活設計に直結します。転職先の給与や入社時期と合わせて、退職前に確認できる書類と質問をまとめておきましょう。

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